法衣や袈裟と共に着用される帽子(もうす)とは?

サムネイル引用元:https://costume.iz2.or.jp/costume/4.html

 

歴史上の資料などの絵などにも残っており、現代まで使用されている僧衣の1つに帽子(もうす)が数えられます。

帽子と書いて”もうす”と読み、中国の宋代に禅宗から始まり、鎌倉時代の日本でも臨済宗・曹洞宗が伝わった際に伝来したと言われるものです。

帽子には大きく分けて「襟巻き型帽子(もうす)」と「帽子型帽子(ぼうしがたもうす)」に大別されますが、各宗派によって扱いの異なるものです。

帽子(もうす)の歴史

帽子は主に、首に巻く、頭に乗せる、頭を包むものですが、本来の意義としては高位にある僧侶が大陸からシルクロードを伝わって日本に伝来した「裂地(きれじ)」という伝統織物を使用して主に冬季に使用されるものです。

日本では、鎌倉時代から宗派や役職にあまり関係なく使用されてきたという歴史もありますが、天台宗などでは僧位によって被り方が変わったり、正装とされてきた側面を持ちます。

また、江戸時代後期には在家の門徒女性であっても、「御礼帽子」や「揚げ帽子」が寺院参拝時の最高の礼装であり、派生系としては花嫁衣装などに使用される角かくしなどになってゆきました。

現代の帽子は耐寒用にも使用される

現代においては宗派によって幅広く種類も異なりますが、もっとも主流となったのは冬季に首もとにかけられる襟巻き型帽子です。

白羽二重や薄縹色の帽子を首に巻くように使用されるのが一般的であり、形式のある帽子は別に宗派によって分類されています。

現代宗派ごとの「帽子(もうす)」

現代でも宗派ごとに決められた帽子を使用することがあります。

現代で使用される帽子の形には以下のようなものです。

浄土宗/黄檗宗 誌公帽子(しこうもうす)
臨済宗 観音帽子(かんのんもうす)
臨済宗 烏帽子(からすもうす
日蓮宗※五条袈裟とともに 角帽子(かくもうす)
日蓮宗※七条袈裟とともに 燕尾帽子(えんびもうす)
真言宗 燕尾帽(えんび)
真言/天台宗 縹帽子(はなだもうす)
真言宗 宝冠帽(ほうかんもう)
六角帽(六角帽子)
浄土宗 水冠(すいかん)
浄土宗 蝉帽子(せみもうす)
曹洞宗 立帽子(たてもうす)
曹洞宗 鼓山帽子( くざんもうす )

 

着用の条件が決められた型や宗派では、特定の時期には使用されません。

主に、帽子型帽子(ぼうしがたもうす)は発祥の中国において”威厳を正す”という意味合いであったことから、日本に伝わった後にも着用出来る条件などが決められたと推測出来ます。

 

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