【シルクの歴史】不殺傷、非暴力を表現する素材

不殺傷や非暴力は仏の道において非常に重要視される教理の1つです。

直七法衣店でも採用しているアヒンサーシルクの「アヒンサー」とは、サンスクリット語で上記の不殺生、非暴力を表現する言葉です。

現在ではインドだけではなく、ネパールでストールに使用されていたりするのですが

実は非常に近年の世界的な動きにも平行している素材なのです。

また、インドでは様々なシルクが存在しています。

インドのシルクの歴史

インドのシルクの歴史は古く、シルクロードの全盛期に遡ります。

もともとは唐から輸入されたものですが、段々と蚕を育てて独自のシルクを生み出すようになりました。

現在でも大きく4種類のシルクが存在していますが、中でも野蚕と呼ばれる種別は不殺生のシルクとされます。

釈尊による戒律

釈尊が定められた五戒の中には【不殺生戒】というものがあります。

仏教においては最も基本的な戒律の1つであり、生き物を故意に殺してはならない、という考え方です。

釈尊の教えでは、人間、動物や虫の間に命の差はなく、人間だけの命が尊いという考え方は人間の身勝手が生んだものだと教えています。

インドでアヒンサーシルクが多く製造され始めたのには、この辺りの事情などもあるのではないでしょうか。

蛾になった後に採取されるシルク

アヒンサーシルクと呼ばれるシルクは、一般的に

森の中で蛾が飛び立ったものを採取し、煮沸をせずに生成します。

これらの製造過程には殺生が生まれない為、アヒンサーシルクとして扱われるのです。

通常、シルクを作るには、繭を作った蚕をそのまま茹でて煮沸してしまうことがほとんどです。

しかし、アヒンサーシルクでは成虫となった蛾が飛び去った後

残った繭を原料として、繊維を紡ぎます。

普通のシルクのような光沢が減少する代わりに、柔らかく暖かさのある素材です。

法話や説法にも使用出来る素材

僧の方々が法話や説法を行う際には、不殺生についてお話をされることもあるのではないでしょうか?

アヒンサーシルクで作られる袈裟は、在家の信者の方々が身に付けられる輪袈裟などにも使用されています。

こういった物を使用することで、分かりやすい法話などをお話されることも戒律を伝える上では非常に扱いやすいものではないでしょうか。

従来は不要な蚕の繭を再利用されることでSDGsにも繋がる

近年、世界的な環境保護活動の1つに挙げられる【SDGs】

和訳では「持続可能な開発目標」であり

「世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題を、世界のみんなで2030年までに解決していこう」

という取り組みのことです。

ここ数年ではサステナビリティなどが合わせて注目されているため、大手スポーツメーカーなども素材の再利用を行った商品などを開発・販売しています。

こういった取り組みも大枠で考えれば今あるものに感謝をして、不要なものを使用しないという袈裟本来の姿に近いと言えるかもしれません。

アヒンサーシルクの輪袈裟は以下のページで詳しくご紹介しています。

https://naoshichi-kyoto.com/blogs/houi-kesa/kesa-ahimsa

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