伝統のある袈裟の縫い方「却刺(かえしばり)」とは
却刺とは「きゃくし」とも呼ばれる、現在でも使われる縫い合わせ方法の1つです。
袈裟功徳の中でも「仏が言われた、三世仏の袈裟は、必ず却刺にしなさい。」
と残っているように、かえしばりは袈裟を縫う方法として古くから知られているものです。
かえしばりの特徴
かえしばりは前の針の部分に全て返すような連続した縫い目にはならず、表側にはゴマ粒ほどの針目が点のように連続する縫い方になっています。
普通の縫い方よりもキツく縫える針目を縛る効果があります。
もともと、糞掃衣などの小さな布、あるいは捨てられたような布をつなぎ合わせるには、この縫い方がもっとも丈夫に縫えたという説や、仕上がりが美しいことから用いられるようになりました。
裁縫による名称・および特徴
同、袈裟功徳に記されている解説によると以下のように袈裟は分類されています。
割截衣(かっせつえ)
袈裟を縫うのに、壇隔(だんきゃく)ごとの布をはぎ合わせて作るものを指します。十五条袈裟が六十枚の布から成るというのは、この作り方に由来しています。
ちょうようえ
条、壇隔を分ける葉と縁を別の布で貼り付けて作るという方法です。
割截衣にするには布が足りないという場合には、この縫い方が用いられます。
また、縁、葉に使用される布は別の布を使用してもよいとされています。
摂葉衣(しょうようえ)
1枚の大きな広い布を切らない状態で条、壇隔を分けて作られる。葉はひだを畳んで折り作られるもので、一般的に五条衣にだけ用いられる方法です。
沙弥衣(しゃみえ)
1枚の布で切られることがなく、条、壇隔のないものを言います。
まだ具足戒を受けていない僧侶が身につけることから沙弥衣と呼ばれ、七条や五条の代用とすることが許されています。