七条袈裟の如法衣とは?
古来より袈裟の変化には、仏教の広がりやその様相の変化、教えが広がった地域の色が合わさって現在の仏教のような多様化をしてきましたが、七条袈裟を1つ見ても、複数の種類に分けて数えられることがあります。
七条袈裟には荘厳衣、如法衣という種別があり、如法衣とは読んで字の如く、如法に沿ったような作りの物を指しています。
如法に沿うとは
袈裟の中でも如法衣と呼ばれる種類は、古来より仏の法に従ったものだという意味合いがあります。
如法、仏の法とはすなわち仏の教えに従った物を作り、身に付けなければならないという考え方のことです。
法衣袈裟が広まっていく中において、インドから中国に渡った袈裟文化は、次第に荘厳さが増す中で戒律を遵守している教派の人々にとっては、美しさよりも釈迦の教えに基づいた質素さや色合いを正しく守っていきたいという考え方が優先されました。
このため、色合いの部分では壊色を使い、形においても昔から伝わる製法をできる限り守ったものになります。
色、形において仏の法に従っているという意味合いで「如法衣」という名称が付けられているのです。
丸環を使うかどうかで様式が変わる
如法衣は、南山衣、または天竺衣という2つの様式があり、その大きな違いは丸環を使用するか、修多羅を使用するかどうかによって分類できます。
南山衣は、唐の時代、道宣が祖とされる南山律宗の様式を指しており、丸環を使用して着用します。
天竺衣は、唐の義浄が伝えた如法衣であり、背中の修多羅を使って止めます。
元来、袈裟には紐などが存在しておらず、それを結ぶ紐などもありませんでしたが、風によって袈裟が脱げることを防止するために結びつけることを釈迦が許したということが「正蔵五四・二七〇上」に記されています。
また、壊色の色付けには鉄分やタンニンの色が使われていたと言われています。
現在でも多いのは、修多羅を使用する天竺衣の方かと思われます。
赤色やくすんだ黄色などが主流であり、木蘭色などの壊色が主に大事にされていますが、基本的には褐色が中心となります。