僧侶必見!法衣の保管方法と注意点
今さら聞けない法衣の「正しい」保管方法と衣替え時の注意点
法衣は僧侶が毎日身に着けるもの。都度きちんと保管しているつもりでも、実は正しい保管方法を知らないという方は多いのではないでしょうか。
「普段何気なく法衣をしまっているけど、この方法であっている?」
「衣替えの時の正しい保管方法が知りたい」
法衣や袈裟の正しい保管方法を知らないと、シミや日焼け、虫食いなどが起こりやすくなります。買い替えとなれば予想外の出費になる可能性も…
今回は、僧侶や寺族のみなさんに向けて、日頃の正しい法衣や袈裟の保管方法と、衣替え時など長期に保管する時の注意点を解説します。
後々後悔しないためにも、正しい保管方法を知っておきましょう。 一度身に着ければ、一生役に立つ知識ですので、覚えておいて損はありませんよ。
法衣・袈裟の日常的な保管方法
ここでは、法衣や袈裟の日常的な保管方法を解説します。
1.汚れを目で確認する
法衣袈裟を脱いだら、乾いたタオルなどで埃を優しく落としましょう。
特に裾回りには埃がついていることが多いです。
この時のポイントは、法衣を毛羽立たせないようにすることです。
その後、必ず汚れがないか目で確認しましょう。自分では気が付かなくても、いつの間にか汚れがついているということは良くあります。
汚れは放置すればするほど落ちにくくなるため、できるだけ早く見つけることが大切です。 もしも汚れが見つかった場合には、すぐにクリーニングに出す必要があります。
2.衣紋掛けにかけて、汗を飛ばす
汚れが無いことを確認したら、衣紋掛けにかけて汗を飛ばします。
半日から一日陰干しするのがポイント。一日以上つるしておくと、型崩れの原因になるので注意しましょう。
陰干し後は、シワの確認です。軽いシワでしたら、陰干ししている間に伸びます。ですが、陰干し後もシワがキツく寄って戻らない部分には、汗がまだ残っているということです。
シワがハッキリと残っていたら、すぐに「汗ぬき」に出すことが肝心です。
法衣袈裟は塩分にとても弱いため、汗が付いたまま放っておくと黄色く変色してしまいます。さらに放っておくと生地が弱くなり、破れれば修繕が必要になってしまうことも。
着ている本人は「これくらいの変色なら気がつかないだろう」と思っても、周りから見るととても気になるものです。変色した部分は元に戻らないため、汗ぬきは早めにするのがポイントです。
3.正しく畳む
陰干しして汗を飛ばしたら、綺麗に畳みましょう。
この時大切なのは「正しい畳み方」で畳むこと。法衣には、袈裟や黒衣、切袴など様々あり、それぞれに正しい畳み方があります。
正しい畳み方を知らないと、シワの原因になり、次に着る時にシワを伸ばす手間がかかってしまいます。 法衣袈裟の畳み方一例は、ナオシチYouTubeで詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCIML_FDIV6DSckzdJRiUpJA
4.たとう紙で包む
法衣や袈裟は、必ず「たとう紙」で包んでからしまうことが大切です。
たとう紙とは、着物を包む紙のこと。法衣を買った時や新調した時に、たとう紙に包まれて納品されるのが一般的です。
少々面倒かもしれませんが、法衣を箪笥にしまう時には、たとう紙で包んでしまうのがおすすめです。たとう紙は通気性が良く、湿気を吸ってくれる優れたアイテム。また、直に法衣を重ねておくよりも滑りがいいので出し入れも楽になります。
ここで注意したいのは、必ず「和紙」のたとう紙を使うことです。
実は、クリーニング店では、和紙ではなく「洋紙」のたとう紙が使われていることがあります。
洋紙は大量生産が可能なのでコスパがよく、クリーニング店では良く使われていますが、通気性が悪く湿気を吸ってくれません。
見極めるポイントは、和紙がザラッとした手触りなのに対し、洋紙はツルッとした手触り。一度お手持ちのたとう紙を触って確認することをおすすめします。
衣替え時、法衣を長期間保管する時の注意点
1.たとう紙以外の紙類を一緒に引き出しに入れない
法衣を新調した時に入っていた化粧箱や、薄紙・厚紙は一緒に入れないように気をつけましょう。理由は、たとう紙が湿気を吸う際の妨げになるからです。同じ理由で、引き出しの底に新聞紙を入れるのもNG。
また、たとう紙は定期的に交換しましょう。交換の目安は、たとう紙に茶色のシミが出てきた時。シミが出てきたら、吸湿の限界だと判断してください。
2.ウールと正絹の法衣を一緒にしまわない
虫はウールが大好物。絹の法衣とウールの法衣は、一緒に入れておかないようにしましょう。
3.複数の種類の防虫剤を入れない
無臭タイプの防虫剤、香り袋など、別系統の防虫剤は一緒に入れない様にしましょう。 同時に使用すると、化学反応によりガスが発生することが稀にあるからです。
発生したガスは生地を傷めたり、変色を招いたりする原因となることがあります。
また、たとう紙の窓に貼られたセロファンのそばに防虫剤を置くと化学反応をおこす危険があるため、防虫剤は窓から離して置くようにしましょう。
4.法衣と法具小物は分けてしまう
ゴムやプラスチックを使った小物は、法衣袈裟とは分けてしまいます。
法衣や袈裟の上においておくと、防虫剤との科学変化で生地が変色したり、金糸が灰色に変色したりすることがあります。
小物は小物でまとめたり、布に包むなどしてしまうようにしましょう。
5.定期的に風通しをする
シーズンオフの法衣は、しまいっぱなしにせず定期的に「虫干し」しましょう。虫干しは、晴れの日が3日ほど続く乾燥した日がおすすめです。 法衣を箪笥から出し、2〜3時間ほど陰干ししたのちに、綺麗に畳んでしまいます。
「虫干し」が難しい時には、箪笥の引き出しをすべて開けて、そこに10分間程度扇風機の風を当てるだけでも効果があるので、定期的に行うと良いでしょう。
法衣の保管場所
法衣の保管場所として最適なのは、桐箪笥です。桐箪笥は「防虫効果」と「除湿効果」が期待できます。
桐箪笥を置く場所は、直射日光が当たらない場所が基本です。
実は意外に知られていないことですが、法衣や着物などの生地は、箪笥の中に入れていても日焼けします。また、蛍光灯でも焼けるため、蛍光灯のつけっぱなしもNGです。
法衣が沢山あり、桐ダンスに入りきらず床に重ねて置いている方も多いのではないでしょうか。その場合は、必ずたとう紙に包み、さらに上から風呂敷をかけて、日焼けや蛍光灯焼けを防ぐようにしてください。
まとめ
今回は、日頃の法衣の保管方法と、衣替えなどで長期保管する際の注意点、最適な保管場所について解説しました。
日常の保管にしろ長期の保管にしろ、最も大切なのは「湿気をできるだけ避ける」ことと、「汚れをそのままにしない」ということです。
汚れが見つかった場合はすぐにクリーニングに出すのはもちろん、衣替えの時期にはそれまで着ていた法衣をクリーニングに出すことが法衣を長く綺麗に着るために大切です。
直七法衣店には、法衣や修多羅、打敷や幕などのクリーニングサービスがあります。 特徴は、京都ならではの「京洗い」という洗濯方法を採用していることです。京洗いは、水を一切使わず、専用の溶剤で丸洗いする方法です。
水を使わないことで、「色落ち」「にじみ」「縮み」といったデメリットがほとんどありません。
法衣・袈裟や着物、修多羅などの小物に至るまで、最も安心してクリーニングできるのが「京洗い」です。 法衣のクリーニングの見積もりは、LINEやメールでご相談可能。画像を送っていただければ、迅速に対応いたします。 ぜひお気軽にお問い合わせください。