素絹(そけん)と宗派による違い
素絹(そけん)は天台宗や真言宗などで使用される元々は国家的な祭祀などで参内するときに着用されていた「清浄の衣」とされる法衣です。
元々は平安時代に創案され、元来は官衣として使用されてきた衣装ですが、現代においては、天台宗と古義系真言宗では常用の衣として着用されており、新義系真言宗では慶事の場面や会奉行役の僧侶が着用しています。
素絹(そけん)とは?
日本の伝統芸能である、能などにも見られるように、古い時代の日本では床に当たるような長さの服装がありました。
素絹の元は長素絹と言われており、現代よりも長い尺で作られていました。裾を引きずりながら歩くことから座曳ともう呼ばれており、現代のものよりも1.5倍ほどの長さがあったとされています。
その後、裾を切り詰めた現代のような形が作られるようになり、これらを切素絹、もしくは半素絹と呼ぶようになりました。
現代での呼称は、一般的に半素絹や切素絹を【素絹】と読んでおります。
宗派により扱いが微妙に異なる
素絹を身にまとうときには、石帯と呼ばれる帯を腰の前に蝶結びにすることが一般的です。
但し、石帯自体を本体に縫い付けるかどうかは宗派により解釈が違っております。
また、天台宗では堅めの生地が好まれており、真言宗(新義系)では柔らかめの生地が好まれております。
さらに真言宗(古義系)では、柔らかめの生地に加えて、宗紋の入ったものや柄物などを使用することがあります。
それぞれ、夏物、冬物の概念があります。
色衣と階級について
真言宗、天台宗においては、着用する法衣は僧侶の階級(僧階)によって色が定められています。
素絹も例に漏れず、それぞれの階級に合った色衣を着用します。
上下一連の衣であり、国家的な祭祀のときに参内するための清浄な衣として使用されていましたが、現代では一般的な衣となっております。