浣袈裟法とは何を指す言葉?

浣袈裟法(かんけさほう)とは、「正法眼蔵 袈裟功徳」の中において語られている袈裟のすすぎかたのことです。

袈裟を畳まずに洗う方法について記されており、袈裟を洗う作法についての所作が紹介されています。

ここでは、水野弥穂子氏の和訳を元にその手順をご紹介していきます。

袈裟をすすぐ方法

袈裟を折りたたまないで清らかな桶(たらい)に入れて、香木を煮出した湯を充分に沸騰させてから袈裟をひたして2時間ほど漬け置きをします。

※香木とは、白檀・沈香・伽羅などの香りがする材木のことです。通常は薄く切った欠片を加熱して香りを楽しむものですが、白檀などは非加熱でも香りがするため、仏像などの彫刻などにも使用されます。ちなみに、現代の香木は非常に高価なことでも知られています。

また、香木のない場合には灰湯(あくのゆ)でも代用が可能とされています。

2時間ほど経過したら、再び清浄なお湯を使用して何度も繰り返しすすぎ洗いをします。

このときの注意点として、両手を使った揉み洗いや足を使って踏んで洗うようなことはせず、垢や脂がすっかりと落ちるまですすぎ洗いを繰り返します。

水洗いの方法

よくすすいで汚れが落ちた袈裟は、沈香、または栴檀香などを溶かした冷水にて再度水洗いをします。

※沈香とは、熱帯アジア原産ジンチョウゲ科ジンコウ属の常緑高木。代表的な香木の一つです。

※栴檀香とは、一般的に粉末状にした香木のことを言います。

干しと礼拝

水洗いをしたら、袈裟を清浄な竿に通して干します。

充分に乾いたら、折り目を正しくたたんでから、袈裟を高いところにのせて、香を焚いて花を供養して、袈裟のまわりを右に数回めぐって礼拝をします。

あるいは三拝、六拝、九拝をして、ひざまづいて合掌してから、袈裟を両手に捧げて、口に大哉解脱服の偈(だいさいげだっぷくのげ)を唱えてから、立って法の通りに着付けをします。

昔の袈裟を洗う所作は儀式に近かった?

上記は、袈裟功徳において道元禅師が記された袈裟の洗いかたについての手順ですが、こういった記述を考察すると、単に袈裟の洗濯をするという1つの動作においても、儀式的な意味合いを感じさせるところがあります。

現代では、なかなか袈裟功徳に記されたような手順をもって洗うことは難しいですが、その代わりに素材が便利なものに多く置き変わっているため、法衣袈裟の種類によってはお洗濯をそのまま出来る物も多くなっています。

直七大学では、袈裟の畳み方や洗い方などについてもご紹介していますので、合わせてご覧ください。

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